古い映画を見ていたら、こんな場面に出くわした。
背後にいままで見てきた爪木崎と爪木島がはっきりと写っているこの場面が出てくるのが映画『電送人間』(1960年)だ。この映画の詳しい事はリンク先に譲るとして、こういうシーンを見ると、ここはどこだ?という関心わいてくるのだが、詳しく調べている余裕はないので、分かった範囲で見ていくとしよう。
まずは、この場所に至る映画でのストーリーはこうだ。
連続殺人鬼と化した電送人間から殺人予告を受けた河津清三郎演じる大西正義は手下を従え、愛知県知多半島の小篠島へと避難する。知多半島の先には篠島という島が実在するが、小篠島という島はない。この架空の島に見立てて、伊豆白浜のとある場所をロケ地として使っているのがこの映画だ。
下の場面が大西たちが小篠島に到着したところ。
ストリートビューでみると、下の場所。板戸一色(いたどいちき)が地名のようで、一色海岸とか板戸海岸と呼ばれる。
下の場面は一行が上陸して、避難場所の別荘へ向かうところ。ストリートビューの左側に円で囲んだ石垣が見えるはずだ。当時はなかった草が上一面を覆っているほか、土台部分もスロープの改修に合わせて補強してあるようだ。
先頭を歩く茶色のコートを着た河津清三郎の先に水路があって水が流れている。ストーリーの順からは外れるが、下の場面では、左側に橋がみられる。この下に小さな川が流れており、この流れが上の場面の水路となっている。この橋はストリートビューで見られる橋と同一のもののようだ。
下の場面は板戸一色海岸がこの映画に最初に登場する際のもので、浜から道路の上を右側に移動しながら撮ったシーンで、それぞれ特徴的な4本の木が写っている。
これが道路上からのストリートビューで見られる。
60年経つとこのように成長する。4本あった木は3本になってしまい、それぞれ成長の違いも強く出ている。
ストリートビューでは橋から先へと進まないので、現状はどうなっているのかわからないが、竜宮島という島がある。下の場面に出てくる島がその竜宮島だ。画像を検索すると出てくるので確認できると思う。
さて、電送人間が小篠島に現れるとみた警察は、小篠島へと急行する。その途中に出てくる美しい風景が下の場所で、パノラマ合成をしてみた。ここは1960年頃の河津川の河口付近だ。
下は2019年7月の風景。長い間そこに立ち続けた松の大木は失われ、建物は移り変わり、橋は新しくなり、道路は拡幅され、昔はなかった信号や街灯が作られたが、山の稜線は変わることなく残っている。
この後、とある町が出てくるのだが、どこなのかはわからない。
次に出てくるのが師崎で、これは知多半島先端にある実在の場所。だが周囲の様子をみると、映画に出てくる師崎とは違うようだ。ここも今のところ分からない。
ここで船を調達し、小篠島に上陸直前の場面が冒頭のシーンだ。
船着場から上陸してスロープの先へと進むと、下の場所になる。ここはストリートビューが入らないので、現状はわからないが、撮影当時の空中写真を見ると、建物が2棟並んで建っているのがわかり、警察隊背後の平屋の建物がそれのようだ。
この建物の先に狭い坂道があり、この映画ではこの坂道が別荘への道と想定されている。下の場面は警官隊が坂道を別荘へと急行するところだ。
警官隊がさらに別荘に近づく。石垣の上に繁茂するのは現在でもこの地区の名物であるアロエの群生で、板戸一色はアロエの里として知られる。
左側の小道が別荘へと向かう道と想定されている。
下の場面は、別荘から逃走する電送人間を追う警官隊で、上のシーンと場所は同じ。丸で囲んだ石垣が特徴的で、現在と変わりがないようだ。
この小道の先は現在の地図をみると、警官隊が上がっていった坂道になる。
ストリートビューで見るとこの辺り。家が増え、道路は改修され、撮影当時の面影はなくなっている。海を望めた場所も樹木の繁茂で爪木崎もここからは望めなくなっている。
下の画像は電送人間の逃走中のシーン。坂道を駆け下りて、建物の間を走り抜けていく。
この場所を見るとこの辺り。ここには蔦に囲まれた木造の建物がまだあるが、Googleの航空写真ではすでに無くなっている。
最後は電送装置が置いてある小屋へと逃げ込み、逃走を試みることになる。
この場面を見ると、スロープの先に青い船と小屋のような建物がみえるので、電送人間が逃げ込んだ建物は、2棟並んだ建物の手前側の建物のようだ。
ここで電送人間は逃走に失敗し終焉を迎える。
伊豆白浜の板戸一色が、電送人間終焉の地となった、ということでここは終わり。
板戸一色海岸や河津交差点などのロケ地を教えて頂き有難うございました。大変有意義な情報で感動しました。いつかロケ地を訪ねたいと思います。電送人間はB級どころか大変な名作だ思います。
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