2017年3月26日日曜日

映画『有りがたうさん』(1936年)のロケ地探し 4


本編に入ろう。

 本編に入るとまず固定カメラによる撮影箇所が二か所現れる。













 この固定カメラによる映像は下田であることは間違いないところだろうが、場所をはっきりと特定することは難しい。

 

固定カメラによる下田の映像を2か所出した後、バスの待合所のシーンになる。
下の画像が最初に写し出される場所で、わかりにくいが下り坂の途中にバスが停車している。この辺りに待合所がある。差の先に海が見え、対岸の山の稜線を見ることができる。 



 待合所周辺を撮った映画の最後のシーンは上の場所とは反対方向にカメラを向けている。やはり坂道になっているのがわかる。




 

下の場面ではバスの停車位置、少し距離を置いた位置に三人の女、その先に対岸の様子がおぼろげながら写される。バスの横が待合所になる。




  
女三人をクローズアップした場面で対岸に横たわる山の稜線がさらにはっきりしてくる。






待合所内部からバスの停車している坂道側を写した映像。坂道を挟んだ反対側に石垣が見える。




 以上が待合所の場所を特定するための情報だ。これらをもとに下田市街地をストリートビューで探したが全く該当する場所がなかった。そもそも下田の市街地に坂道がない、坂道が出てくるのは市街地を外れて建物がまばらな場所ばかりで、しかも海が見えない。下田周辺まで範囲を拡げたが、該当するような場所が見当たらなかった。かくしてここでロケ地探しは挫けた。

 数か月後何度目かの再検討をしてみた。対岸の山並みは下田湾の対岸に見えるそれとよく似ているが、下田湾にしては、映画の湾は狭すぎるのではないか。そう考えて、湾の狭い場所を探してみた。

 そうすると、意外なほどあっさりとその場所を見つけた。それがここだ。 最初の下り坂を写した画像の場所だ。





 場所は下田から遠く離れた伊豆東海岸の稲取だった!

残念ながらストリートビューはこの道には入っていかないので、現在の様子はこれ以上わからないが、この先の通りは入っているので、それを見てみよう。





  
 女三人組でみた対岸の稜線と一致し、湾の広さも同じ規模だ。またストリートビューを操作して背後を見ると、待合所内部から外を写した画像に見られた石垣が現存しているのがわかる。

  撮影当時の稲取はこれほどにぎやかなのだろうか、とふと考えて調べてみた。今は温泉で有名だが、温泉が出たのは戦後のことで、伊豆急の鉄道が通ったのも戦後のことだった。
 古い絵葉書を検索してみると、映画が撮られたころに近い画像が見つかる。それをみるとそこそこ賑わいのありそうな場所のようだった。しかも映画に出てくる山の稜線も確認できる。


《追記》
稲取のストリートビューは2107年12月のものに更新されて、より新しい状態がわかるようになったものの、以前の2014年にはあった石垣と建物がなくなり、駐車場になってしまったようだ。この石垣は映画の撮影場所を特定するうえで重要な存在であったので、この場所については2014年のストリートビューを見てほしい。左上にGooglemapでみるをクリックして、Googlemapに行くと、左上に「ストリートビュー 月と年月が出るので、それをクリックして、2014年の画像が出る。ただし通りの様子は2017年版の方がわかりやすくなっている。


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