2020年3月18日水曜日

映画『有りがたうさん』(1936年)のロケ地探し 12 と『恋の花咲く 伊豆の踊子』

 下田の白浜神社から、突然宇佐美の宮川橋を渡ると、映画はしばらく走るバス内部の様子を描く。その後は走りながらの風景のみを映し出すのだが、撮る位置を変えながらもほぼ同じ場所を撮っている。画面には岬の先に中央部が尖った島が見える。

































 ここを探すと下の場所が見つかった。この場所は地図上に白浜中央海水浴場という名前が出てくるが、地元では長田浜とも呼ばれているようだ。岬の先端部付近は瓜木崎で、中央部が尖った島は瓜木島だ。











 
 カメラがもう少し先に進んだところからの画像では、ストリートビューに映っていない防波堤のようなものが見える。これは上のストリートビューを動かせば左に見えてくる。
  下の画像で上の黄色い丸の中は、どうやらもともと自然にあった岩をコンクリートで固めたもののようで、湾曲した形状になっている。写真だとスケール感がないが、結構大きななものだ。
 下に見えるのは明らかに人工的に造られた防波堤といったものだ。当時のものと現在のものとが同じであるかは定かではないが、補修した跡もあるので延長されていたりするかもしれない。








































これと同じものが映った別の映画がある。下の画像がそれで、画面右に先端部分が写っている。この映画は1933年(昭和8年)に公開された五所平之助監督恋の花咲く 伊豆の踊子』で、伊豆の踊子の最初の映画化作品であり、サイレント映画でもある。有りがたうさん』の公開の先立つ3年前のことだたった。
 学生役は大日方傳。踊り子役は大女優田中絹代で、この映画以前短い期間ながら清水宏と婚姻関係にあった。




































 これだけでは長田浜なのかわからないので、別の画像をみてみよう。













ストリートビューでみると大体この辺りのようだ。当時はなかった建物や樹木が視界を遮っているので、正確な場所を見つけるのは難しい。







左下は『有りがたうさん』で、この場所から去っていく最後のシーン、右下は『伊豆の踊子』で白浜が現れる最初の場面となる。同じ道路上で近い場所と思われる。






 































ストリートビューでみるとこの辺りかと思われるが、ここも当時はなかった建物や樹木で遮られて特定は難しい。